【消費税率上昇分の“価格転嫁”の重要性】実践コラム Vol.20

【消費税率上昇分の“価格転嫁”の重要性】実践コラム Vol.20

4月から消費税が8%になりました。
特に小売業を営む事業者様にとっては大きな影響があります。しかし、私が毎日昼食を取っている飲食店街では、4月1日以降も料金が改定されていないお店も少なくありません。

なぜでしょうか?

=========== とその前に ===========

■ 価格転嫁とは? (実用日本語表現辞典より)
小売業が原材料の価格上昇を取引価格に反映させて負担させること、材料費の価格増を消費者に負担させることを意味する表現。

■ 税込み価格の内訳
・ 本体価格=店の売上げ
・ 消費税=消費者が支払う消費にかかる税金を事業者が預かり国に支払うもの

そもそも、消費税は店の売上げではないので、「消費税分を価格に転嫁する」という考え方自体に誤りがあるのではないでしょうか。

増税分を価格転嫁するか否かではなく、増税分をいただくのが当たり前!
『本体価格』 と『 消費税』 を分けるという考え方が正論です。

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上記をお伝えした上で“価格転嫁”という言葉をあえて使い、話を元に戻します。

■ なぜ価格転嫁しないのか?

〇 お店の外に、価格の入った看板を掲げているお店があります。看板を作り変えるとなれば、新たな費用が必要でしょう。

〇 店の中に入ると、壁一面にメニューと料金が書かれた短冊が張り巡らされています。全てを書き換えるとなると大変な労力です。テーブルに置かれたメニューブックも同じです。

〇 対処しなければならない問題は他にもあります。つり銭の準備や会計時の煩雑なオペレーショを考慮して、10円単位で料金を設定している飲食店が殆どです。円単位の価格変更に対応するためには、オペレーションそのものの変更が必要です。

人員と資金に余裕の無い小規模店舗では、消費税増税への対応が困難な現実があるようです。

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■ 価格転嫁しない場合の影響

内税で価格を表示している場合、3%の増税を価格に転嫁できなければ、単純に売上高が3%減少したことになります。

〇 月商250万円、年商3,000万円の飲食店の場合
⇒ 年間で90万円の売上減少です。

〇 ランチ700円のお店であれば
⇒ 年間1,285人分のランチ売上が滅失することになります。
決して小さな数字ではありません。

〇 仮に原価率が30%の飲食店とした場合、
⇒ 粗利益率は約1%も低下します。年間30万円、毎月2万5千円の粗利益が減少することになります。

〇 営業利益率が2%であれば、
⇒ 毎月の営業利益が5万円~2万5千円に半減します。

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一般飲食店の業界平均営業利益率はマイナスですので、実際には赤字幅が拡大した飲食店が多いはずです。

対応が困難とはいえ、利益を半減させてまで、赤字幅を拡大させてまで、消費税を価格に転嫁しない理由など本当にあるのでしょうか。

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十分に儲かっているならば、お客様の利益を守るという美しい経営哲学もわかりますが、お客様の利益を守る一方で自分が赤字を出していては、そもそも継続できません。

変化を嫌い、ただ何となく価格を据え置くという経営からは早期の脱却が望まれます。

まずは、「消費税を価格に転嫁できなかった場合、利益がいくら減少するのか。」という明確な数字を掴むところから始めましょう。

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自社の場合、消費税を転嫁できなかったら営業利益がいくら減少するのか?といった経営シミュレーションをご希望される方は、是非当事務所までご相談ください。

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