【利益を上げるために、押さえておくべき3つの組み合わせ】経営コラム Vol.11

【利益を上げるために、押さえておくべき3つの組み合わせ】経営コラム Vol.11

『儲けるために(利益を上げるために)は売上UPだ!』
ある意味正しいですが、それだけでは容易に利益は上がりません。

『固定費を削減して、利益を上げるぞ!』
それも利益を出す要因ですが、これもなかなか容易ではありません。

やみくもに(目先の)売上アップに走ったり、本当は必要な固定費を削減したりすることで結果的に経営を苦しくさせることになってませんか?

必要なポイントを押さえて利益計画を策定してください。
複雑な事業計画ではなく、売上・販管費・粗利益率(原価率)の3つを組み合わせて、利益をどう確保するのか?

この方針をしっかりと決めてください。
経営のイメージが描けます。

難しい財務分析数値を勉強するより、まずここからスタートさせてください。
これさえ押さえておけば経営が変わります。

少し長くなりますが、是非皆さんの会社の数字に置き換え(できれば電卓を用意して)参考にしていただければと思います。

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※ 原価、粗利益、販管費を以下のように定義します。

・原価=変動費(売上に比例する経費。売上が0なら発生しない経費)
(原価率=売上に対する原価の率)

・粗利益=売上ー原価のこと
(粗利益率=売上対する粗利益の率)

・販管費=固定費(売上が0でも発生する経費)

【これは絶対に覚えておいてください】
1. 売上×粗利益率-販管費=営業利益
2. 販管費÷粗利益率=損益分岐点売上(赤字にならない必達売上)

■ 利益を増やす(増益の)ための要素は大きく3つです。
1.売上を上げる。
2.販管費を下げる。
3.粗利益率を上げる(原価率を下げる)。

■ 今期年商1億円、原価6,000万円、販管費4,000万円、営業利益0円の会社で、来期目標営業利益を700万円において考えてみましょう。
この会社の原価率は60%⇔粗利益率は40%となってます。

売上1億円×粗利益率40%=粗利益4,000万円
粗利益4,000万円-販管費4,000万円=営業利益0円
です。

1. 売上だけを上げて、700万円の利益を出すためには…
・売上1億1,750万円、1,750万円の売上UPが必要です。

2. 販管費だけを削減して、700万円の利益を出すためには…
・販管費は3,300万円、700万円の販管費を削減する必要があります。

3. 粗利益率だけを上げて、700万円の利益を出すためには…
・粗利益率を7%上げる必要があります。

さて、皆さんならどの方法を選択しますか?

実際には、以下の3要素の組み合わせになります。
・売上に伸び代を感じるなら売上UPを目指します。
・販管費に余裕を感じるなら販管費の削減を行います。
・高付加価値化や値上げ、又は原価の削減ができそうなら粗利益率の向上を狙います。

■ 様々な組み合わせ例を検証してみましょう。

1. 売上だけを17.5%UP(1,750万円)、これで営業利益は700万円になります。

2. 売上を7%UP(700万円)して、販管費を10.5%削減(420万円)、これで営業利益は700万円になります。

3. 売上を30%UP(3,000万円)して、販管費を12.5%増やす(500万円)これで営業利益は700万円になります。

上記は粗利益率UPの要因を組み込まずに計画してみました。
急成長中の企業なら可能でしょうが、安定期の企業にはしんどそうですね。

■ では、粗利益率UPの要因を組み込んでみましょう。

1. 売上を3%UP(300万円)販管費を4.2%削減(168万円)粗利益率を4%UP、これで営業利益は700万円になります。

2. 売上を5%UP(500万円)販管費は現状維持、粗利益率を4.8%up、これで営業利益は700万円になります。

3. 売上と販管費を据え置いた場合は、粗利益率7%UP、これで営業利益は700万円になります。

このように粗利益率UPの要因を組み込んで計画すると、選択肢が大きく広がります。

■ 売上・販管費・粗利益率(原価率)、この3つの方向性が決まれば、自ずと経営の方向性は見えてきます。

1. 売上を30%UP(3,000万円)して、販管費を12.5%増やす(500万円)これで営業利益は700万円になります。

2. 売上を3%UP(300万円)販管費を4.2%削減(168万円)粗利益率を4%UP、これで営業利益は700万円になります。

・前者の方針は、販管費を突っ込んで大幅な売上増を狙う、そのためには、人員採用や販促費予算も必要でしょう。30%増の売上と、12.5%の販管費増加のバランスを取りながら、経営管理を行います。

・後者の方針は、高付加価値商品の開発や仕入れコストの削減が経営のテーマになります。また、販管費の無駄の削減も必要です。販促費等の見直しにも取り組まねばなりません。

上記の2つでは、明らかに明日からの経営方針が変わるはずです。

■ 以下、ご確認ください。

・売上・販管費・粗利益率(原価率)の3つをどう組み合わせて経営するのか整理してください。

・粗利益率(原価率)の要因を十分に考慮して利益計画を作ってください。

・売上UPのみの要因での利益確保は、容易ではありません。値引き販売(粗利益率DOWN)の利益確保は、さらに難解です。

【まとめ】
利益計画は、売上・販管費・粗利益率(原価率)の3つの組み合わせです。特に、粗利益率(原価率)は利益を左右する大きな要因です。粗利益率を重視する経営をお勧めします。

◎ 利益計画策定に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所にて承っております。

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