【単純な経営管理を導入してください】経営コラム Vol.13

【単純な経営管理を導入してください】経営コラム Vol.13

売上を40%も増加させたのに大幅赤字に転落していた?
頑張った1年を無駄にさせないために。

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以下の事例で出てくる単語の定義を押さえてください。
※ 原価、粗利益、販管費を以下のように定義します。
・原価=変動費(売上に比例する経費。売上が0なら発生しない経費)
(原価率=売上に対する原価の率)
・粗利益=売上ー原価のこと
(粗利益率=売上対する粗利益の率)
・販管費=固定費(売上が0でも発生する経費)
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■ 食品加工業を営む某社の話です。

極めてニッチなマーケットで一定のシェアを持っています。
ある事情で、競合他社が商品供給できない状況に陥りました。
急激に注文が増えて、翌年は40%の増収(売上増)になりました。
大変忙しい充実した一年であった?感覚で経営されていました。

ところが決算を締めてみたら、40%増収、粗利益率5%ダウン、販管費20%増加、大幅赤字に転落しました。頑張った一年が台無しです。
売上高・粗利益率・販管費の管理さえできておれば、こんなことにはなりません。

急増する売上高に対応するために、原料仕入れを急ぎ、原価率を5%も上昇させてしまいました。同様に、人員確保を急ぐあまり、過剰な人件費を発生させました。

20%の増収、粗利益率維持、販管費を10%以下の増加率に抑える作戦で経営に臨んでいれば、増収・増益の良い一年になったはずです。

この会社様には、売上高・粗利益率・販管費の数値目標を持っていただいた上で、月次管理を導入しました。
赤字転落した翌期は、減収(売上は昨年対比マイナス)、粗利益率は5%アップ、販管費は10%ダウンの計画を立案して、月次で管理を行っています。

目標を持って行動し、成果を確認しながら進めて行けば、確実に結果は伴います。目標管理とは、この様な事を指します。

① 売上を伸ばしてください。

売上が立たなければ事業は成立しません。売上は大変重要です。一方、利益の伴わない売上は邪魔です。売上には、原価と経費が伴う事を忘れてはいけません。今日立った売上が、どのくらいの利益を伴ったのかを感覚で理解しながら、月単位では数値に置き換えて確認してください。

このコントロールが経営管理です。
売れば売るほど損する事業を営んでいる会社様も、決して少なくありません。

② 粗利益率を下げないでください。

粗利益率を下げながら、大きな売上増を目指す経営もありますが、これは大変高度な経営手法です。一定以上の資金力と、高等な経営管理体制が伴っていなければ成功しません。お勧めしたくありません。

粗利益率は、絶対に下げない、できれば少しでも向上させる、この気持で経営してください。このコントロールが経営管理です。

③ 販管費は、粗利益額の増加分以上に増やさないでください。

大きな増収(売上アップ)の環境下では、増収から新たに生まれる粗利益額よりも大きな販管費を抱えてしまうケースが少なくありません。

増収が長期間続くのであれば吸収できますが、一過性のものであれば、収益構造を劣悪化してしまいます。このコントロールが経営管理です。

④ 経営管理の必要性をご理解ください。

経営管理は大きな会社のためのものではありません。
小さな会社にこそ、経営管理は必要です。細事にとらわれ過ぎず、売上高・粗利益率・販管費の三つだけでかまいません。現状(過去)対比で、売上高・粗利益率・販管費の三つをどう推移させるのかの目標を決めて、結果を確認・修正しながら経営してください。

⑤ 数字がわからない社長こそ、経営管理が必要です。

数字に強い社長なら、売上高・粗利益率・販管費の推移を推測できるはずです。それでも、一定の規模を超えると誤差が大きくなります。試算表での確認を行い、軌道修正が必要です。

一方、数字が読めない社長は、まさにちんぷんかんぷんです。売上高の推移のみに気を取られているケースがほとんどです。(上記事例の様に。)
数字に対する助言を求め、経営のかじ取りに生かしてください。

⑥ 売上高・粗利益率・販管費の三つを管理してください。

・現状(過去)の売上高・粗利益率・販管費を確実に把握してください。
・今後、この三つをどう作っていくのかを起案してください。
・計画と実績の差を確認し、都度修正しながら経営してください。

ぜひ、単純で最低限の経営管理を導入してください。

〇 銀行融資プランナー協会正会員事務所である当事務所は、売上高・粗利益率・販管費の三つを使った、わかりやすい計画立案とフォローの仕組みの導入を推進しています。ご遠慮なく、早めにご相談下さい。

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