【ダム経営(松下幸之助氏が提唱する、資金に余裕のある経営)を目指す】経営コラム Vol.2

【ダム経営(松下幸之助氏が提唱する、資金に余裕のある経営)を目指す】経営コラム Vol.2

1 経営の三大ファクターは『人・モノ・金』と言われます。

一番大切なのは、最終的には『人』でしょう。
次に大切なのは、『モノ』やサービスでしょう。
三番目が『金』になります。但し、これは言葉の綾であって、人作り・物作りのためにはお金が必要です。経営者は、最も重要な『人やモノ』を作りあげるための資金を供給し続けなければなりません。お金が枯渇したら、一瞬にして『人やモノ』作りが停滞してしまいます。故に、一番大切なものは『金』だと表現する人もいます。

2 資金繰りへの対応は、経営の範疇に入りません。

① 資金繰りの悩みは、後ろ向きの行為です。資金繰りの悩みは、付加価値を創造する行為には入りません。
出来ればしない方が良い類(たぐい)の悩みです。ただ、絶対に解決しなければならない問題であり、大変重い悩みです。

② 資金繰りの解消に多くのエネルギーを消費している社長は少なくありません。「月末の資金繰りを乗り切った。」と胸を張っておられる社長がいます。重要なことではありますが、本当はこんな努力はしない方が良いはずです。

3 資金繰りの苦労をしない、苦労しているなら脱却しましょう。

「ダム経営」(松下幸之助氏が提唱する、資金に余裕のある経営)を目指す、この決意を持ってください。
「お金の心配をしないために、しっかりとお金に備える」決意を持ってください。
お金に強い社長になってください。「お金は苦手」これではダメです。

4 お金に強い社長になるために、「出来るだけ資金を潤沢に持つ」決意をしてください。

※ 今資金繰りに苦労していても、この決意を持って三年間努力すれば、必ず資金繰りの苦労から解き放されます。

① 金融機関からの借り入れを積極的に行う、この方針で進めてください。
無借金経営は、ダム経営が完成した時の最終目標です。
可能な限り借入れを行い、手元キャッシュを増やしてください。
借り入れは、出来るだけ長期で、出来るだけたくさん行ってください。
返済が進むと、返済済み分の手元資金が減少します。定期的(6ヶ月か1年毎に)に、借り直しを行い、残高を維持・増加させてください。
金融機関から融資を過度に受け過ぎて、資金が余る時のリスクは、余分な金利を支払う事です。
必要最低限の資金のみを調達し、余分な資金を調達しない時のリスクは、資金が枯渇して、継続が困難(倒産)になる事です。このことを良くご理解ください。
金融機関からの借り入れを積極的に行える会社の体制を維持してください。計画なし、試算表なしでは金融機関とお付き合いできません。

② 利益は出来るだけ出してください。
適切な節税や減税措置は上手に活用ください。当然です。
但し、過度の節税意識は、利益を嫌う間違えた思考に至ります。「利益が出ると税金を払わねばならない、故に利益は少ない方が良い」との考えです。これは明らかに間違えです。一千万円の税引き前利益は、半分弱の税金と、半分強の純利益(蓄え)を作ります。利益ゼロよりは五百万円以上も得です。
この間違えた考え方を持ってしまったために、伸びかけた事業の芽を、毎期末ごとに摘んでいる会社様も少なくありません。残念です。

③ 利益を確実に求めてください。
ビジネスは「利益を求めながら貢献する」行為です。良い会社はこれが出来ています。
「利益」のみを追求するのは詐欺集団で、「貢献」のみを行うのはボランティア集団です。
利益を正々堂々と追求してください。
「利益なんかいらない」「利益のためにビジネスをやっていない」こんな言葉や思いは絶対にNGです。「金」を嫌うものは、「金」にも嫌われます。

④ 経営者には様々な資質が必要です。
創業者には、特に営業力が必須です。
規模のある安定した企業には、マネージメント力が重要です。
ただ、共通して必要な資質は、「お金」に対するセンスです。

「過度の拝金主義者」は、いつか必ずペナルティーを受けます。

「ボランティアをビジネスに持ち込む社長」は、いつまでも潤いません。

ボランティアとビジネスを明確に区分してください。
「値決めのセンス」の悪い経営者は、繁盛貧乏を招きます。
「資金調達力」のない社長は、事業を立ち上げることができません。

この機会に「お金」との付き合い方をご確認ください。

(一般社団法人銀行融資プランナー協会 代表理事 田中英司)

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